ハーブ系リキュール

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 ヨーロッパ各地で愛飲され続けてきた薬草(ハーブ)系のリキュールは、一部の銘柄を除くと日本では馴染みではありません。ジン、カンパリ、クレム・ド・ミント以外となると、せいぜいシャトリューズ、ドランビュイ、ヴェネディクティン、ペルノーくらいではないでしょうか?苦味が強めの銘柄が多く、嗜好品としてより滋養強壮酒として発展してきました。蒸留酒の歴史において需要な役割を果たし、本来は本筋とも言えますが、甘美追求型のカクテル用リキュールに押されて、日陰に追いやられてしまいました。地域性が強い事もあり、日本では知名度の低い銘柄がほとんどです。何世紀のも間ヨーロッパの各地で飲まれ続け、愛され続けてきた味わい深い各種の銘柄を紹介したいと思います。数多くの中から長年の洗練と選択を経て生き残った銘柄たちは、新鮮な驚きと新しい味の発見を与えてくれます。

(精細については、銘柄名をクリックして下さい。印は低アルコールの銘柄です・お酒が弱い方もお楽しみ頂けます。)

イエイガーマイスター (ドイツ/バランスのとれた入門銘柄・とりあえずお勧め)

ドランヴュイ (スコットランド/この地域ならではの甘めながら上品でドライな味わい)

ストーン・ジンジャー・ワイン  ブリテン/馴染みやすくてお勧め・軽やかです)

ピムスNO1 ブリテン/甘ホロ苦い伝統のリキュールカクテル)

ピコン・クラブ  (フランス/オレンジ風味で親しみ易いエキゾティック味)

ウニクム (ハンガリー/濃〜い味の超クセ者)

フリゴラ (スペイン/タイムがかもし出すチルアウトな楽園味)

<イタリア>

カンパリ (お馴染みのイタリアンビター代表)

アベロール  (優しくユルいオレンジ風味・カンパリ系)

チナール  (ドン臭さが魅力の田舎娘?カンパリ系)

アヴェルナ・アマーロ (シチリアの伊達男?カンパリ系

フェルネ・プレソラーナ (奥深く複雑な苦味!素晴らしいです)

ポーリ・アマーロ (苦味一本勝負!糖分ゼロ・・)

ポーリ・アペリティフ  (ベリーと唐辛子で新鮮な味わい)

コカ・ブトン (終売品、激甘、コカの葉・・・・)

ラ・イタリアーノ (絶品アブサン、イタリアより登場!)

(カンパリ系と表記してある銘柄がありますが、別にマネっこと云う訳ではありません。イタリアン・ビター酒は昔から各地にありましたが、大まかながら味の傾向には共通点がありました。その中で世界的に有名になったのが“カンパリ”だったので、分かり易くカンパリ系としました。という訳で、それぞれ違いを楽しんで頂ければと思います。ハーブリキュールなので、スコッチや焼酎などより味の違いは大きいんですよ。)

イェーガーマイスター ( Jagermeister )  < ドイツ >   ミント、リンドウ、アニス、甘草、蜂蜜、など    (40度)

・日本でも比較的ポピュラーな銘柄なのは、苦味が少なめながらも甘味とのバランスも良く、入手もし易いからでしょう。本国では、ビールの友として傍らに置き、胃が冷えてきたなと思ったら小さなグラスでクイッとやるようです。

・複雑ながら親しみやすい味わいで、美味しい!ハーブリキュール入門銘柄としてお勧めします。

・ストレート、ロック、ソーダ、トニック、ジンジャエール、オレンジなど飲み方を選びません。

・ 56種類ものハーブ、果物、植物の根、スパイス、フルーツ を使っていると言われていますが、公表されていません。かつて、鹿の血やアヘンが入っているとの噂を呼んだのも、銘柄の持つイメージや独特の味わいからの妄想が膨らみすぎたからでしょう。1935年の発売と、比較的新しい銘柄ですが、カンパリにつぐ世界代2位の売り上げを誇る人気リキュールです。

・ドイツ語で“ハンターの守護聖人”の意。7,8世紀頃のドイツの逸話で、牡鹿の角に精霊をみた人物が後に聖職者の道を選んだと言う物語が其の名の由来だそうで、ゲルマン民族の森林崇拝を思い起こさせる神秘的でシャーマニックなイメージの飲み物です。当店の入り口の下り階段突き当たりに掛けてある鏡がイェーガーマイスターのパブミラーで、聖なる鹿君が悪霊の侵入を防いでくれています。


1994年のDTMでアルファにスポンサード

 

ドランビュイ  < スコットランド(スカイ島) >    ・ヒースの蜂蜜など / ハイランド・モルト・ウイスキー    (40度)

・15年以上熟成のハイランド・モルトを中心に40種ほどのスコッチとヒース(エリカ)の蜂蜜、ハーブ、スパイスなどをブレンド。

ウィスキー味の力強く深甘いリキュールです。

・ロック、ソーダ、トニック、オレンジなどで・・スコッチとミックスしたラスティ・ネールというカクテルが有名です。

・1745年、イギリス王位を争っていたチャールズ3世が、戦いに敗れ、30000ポンドもの賞金を掛けられた後スコットランドへの逃避行を余儀なくされました。彼を庇護しフランスへの逃亡を助けたハイランドの士を代表して、ジョン・マッキノンに褒美として王家秘伝の酒の製法が授けられます。 以後マッキノン家の秘蔵酒として150年間ほど門外不出でしたが、1906年に販売が開始さました。ボトルに"Prince Charles Edward's Liqueur"と記されています。「ポニー・プリンス・チャーリー」の愛称で親しまれた彼は、今でもスコットランドのアイドルです。

・この、伝統的リキュールを味わう度に、当時の人々の甘味という得がたかったであろう快楽への嗜好性を感じる事ができます。当時、甘味料がクスリ的役割を果たしていたという経緯もあり、甘くて美味しくて元気になる「満足できる酒」でした。ドランブイ(Drambuie)の名は「満足できる酒(dram buidheach)」というゲール語に由来しています。

・この地のヒース(ヘザー)から採れる蜂蜜は「スコティシュ・ヘザー・ハニー」と呼ばれる特別品で、ワインの様な熟成を経て○○年物的なビンテージ扱いをされている様です。スコッチ・ウイスキーの香味にも「ヘザー・ハニーの様な・・」と表現される要素があり、ウイスキーと蜂蜜の出会いは地域的必然とも言えるようで、他にも幾つかの同種銘柄があります。アソール・ブロス、ロッカン・オラ、ケルティック・クロッシング アイリッシュ・ミスト、などです。

ストーン・ジンジャー・ワイン   < イギリス >    ・生姜しょうが / 白ワイン     (13度) 

・英領だったオーストラリア産生姜の粉末を、辛口の白ワインに浸透させオーク樽で熟成して造られます。 1740年にロンドンで発売され、ラベルにロンドン市の紋章をつけることを許された由緒正しいリキュールです。

・とても飲み易いながらも、さり気なくクセになる味。軽やかな味わい。

・ロック、ソーダ、ジンジャエールなどで・・ウイスキーにチョイ垂らしもウマい・・

・イギリス人は生姜好きらしく、ジンジャー・プティング、ジンジャー・クッキー、ジンジャー・ブレッド、ジンジャー・ビア、などは有名ですね。ジンジャー・ワインは学生達が大人の階段を登る時、その手助けをしてくれる頼もしい助っ人らしいですよ。特に オックスフォード大学の卒業生達にとっては甘酸っぱい青春の輝きを象徴する飲み物らしく、小説や映画などにも出てくるそうです。

 

ピムス No.1    < イギリス >    ・フルーツ、ハーブ類 / ジン      (25度)

・1840年代、ロンドンのビムス・オイスター・バーで、ジンをベースに、リキュール、柑橘系フルーツエキスなどを配合したカクテルを提供したのが始まりです。

・柑橘系フルーツとハーブの風味が爽やかな、甘くほろ苦い清涼感のある味わい。

・ロック、ソーダ、ジンジャエール、トニックで・・なぜかキュウリを添えます。

・1910年代にはイギリスで影響力のあるエリート達の間で、ファッショナブルな飲み物として大流行しました。今でも 「ウインブルドン全英テニス選手権大会」、「ロイヤル・アスコット競馬」、「ヘンリー国際ボートレース」など、上流社会のイベントで愛飲され、夏の風物詩として定着しているそうです。

・ 1930年代には ピムスNo.2(ウイスキー)、ピムスNo.3(ブランデー)、ピムスNo.4(ラム)、などのバリエーションが広がり、その後もピムスNo.5(ライ)、ピムスNo.6(ウォッカ)などが発売されました。(今は、ありません)

ピコン・クラブ   < フランス >    オレンジ果皮、ゲンチアナ(リンドウの一種)、キナ(アカネ科薬用樹木)    (18度) 

・割と知られているアメール・ピコンの別バージョンです。アメールは仏語で「苦い」の意。アルジェリア派遣兵のガエタン・ピコンが現地の薬草・ゲンチアナに興味を持ち、退役後に研究を重ね、1837年に発売しました。

オレンジ果皮の風味が特徴的で苦味系としては珍しくフルーティでバランスも良く、親しみ易いと思います

・ロック、水、ソーダ(+グレナデン)、ビール、オレンジジュースなどで・・

・ピカソの愛飲酒として有名なズーズも同じゲンチアナのリキュールですが、全く異なる味わいです。

・三回来日した事もある、フランスの人気歌手(死語?)パトリシア・カースの曲にピコン・ピエール(ビール割り)が普通に登場していて、現地ではポピュラーな飲み物である事が分かります。

 

ウニクム  < ハンガリー >   46種のハーブ    (40度)

・1790年、皇帝ヨーゼフ2世の為に造られた薬用酒で、「Das ist ein UNICUM!(これはユニークだ)」との感想が名由来だそうです。でも、ラテン語だと「世界でただ一つ(の花)」的な意味ですね。

・ほのかなクリーム甘味に覆い被さる様な強い苦味が勝った味で、実用性?が高そう・・「これが薬用酒だぜ!体に良いに決まってんだろっ!」って感じです。妙に後を引く味。

・1989年の共和国の樹立まで民主圏への輸出はほとんどありませんでした。旧ラベルには極めて共産主義的なアジテーションが記載されていたそうです。国民酒として長らく愛されていて、 ブダペストのバーには必ず置いてあるとか。日本の飲み屋に養命酒が置いてある事はマズ無い(ですよね)ので、ヨーロッパ人の薬用酒に対する自然な馴染み具合を感じます。

 

プリゴラ   < スペイン (イピサ島) >    タイムなど     (30度)

・ 地中海のイビサ島に、我が物顔で自生するタイムと他の島産薬草や果皮が原料で、一切香料等を使用せず造られる伝統的な自然派リキュールです。意外な事にタイム原料の酒は珍しいです。

・ タイムの香りが刺激的で、甘味強めながらバランスはよく、口に含むとスパイスの効いたケーキを食べている感じですか?不思議ちゃん的な美味しさです。親しみやすい個性派

・ミストやコーラ、ソーダ割りで・・

・70年代のイビサ島は、アフリカから流入するドラッグ、スペイン本土から数百キロも離れた独立性、この島独特のラブ&ピースな環境を求め、頭に花が咲いた若者達が流入するようになり、いつしか「ヒッピーの聖地」と呼ばれるようになりました。 この時代は、かなりデカダンな雰囲気が漂う、アウトローな場所だったようです。今では有数のリゾート地として有名ですが、街の各所にチル・アウトなクラブが気を吐いており、かつての名残を感じさせます。(大昔、一部の人達の間で伊豆の新島が日本のイピサ島とか言われていて、つい失笑してしまいました。)

・ イビザ島には「パロ」という名の島産リンドウのリキュールもあるそうですが、国内で探しても入手は不可の様でした。スペインのサイトでは販売していますが、初心者にはハードルが高いでね・・

・(そんな細かい事どうでもいいヨ・・と思われるんでしょうが)イピザとの表記が多いんですけど、島民の発音通りのイピサと表記しました。

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イタリアのハーブリキュール!

・さて、ハーブ系苦味リキュールの激戦区と言えばイタリアです。生まれ故郷に対する狂信的偏愛を持つイタリアの人々は「イタリア人なる者はいない」と云われる事も多く、国が一つになるのはサッカーの国際試合の時だけらしいです。この意識は食文化にも強く反映していて、「イタリア料理と言うものは無く、各地方の料理が存在するだけ」だそうです。リキュールも類似の味わいを持ちつつも、地域銘柄が各自の味覚根拠と存在感で愛飲されています。ストレートで飲むと似た感じでも、ソーダなどで割ると個性の違いが明白に浮かび上がります。

印は低アルコールの銘柄です・お酒が弱い方もお楽しみ頂けます)

カンパリ    <イタリア北西部/ピエモンテ州>   60種のハーブ   (32度)

・1860年、ピエモンテ州トリノのバーテン、ガスパーレ・カンパリ氏が自分のレシピで発売しました。その鮮やかな赤い色(今は着色料ですけど)とバランスの取れた味わい、甘味全盛の時代に切り込んだ販売戦略と運も味方して、今や世界で随一の普及率を誇る苦味ハーブ系リキュールです。

・さすがにコノ味は説明無用?ロック、ソーダ、トニック、コーラ、ビール、と何でもござれの融通性。スプモーニも有名ですが、冬のお湯割りが意外とイケる・・

・1860年に発売された時は、当時の流行?に乗って「ビッテル・アルーソ・ドランディア」(オランダ風苦味酒)と名付けて売り出したそうです。商売人ですね・・でも、何の流行だったんでしょうか?

・カンパリの突出度はスゴイです。各地域の伝統酒として小規模生産されていた田舎の苦味リキュールを、「都会的(トリノはイタリア第四の都市です)センスで洗練させ普遍性(生産性や流用性)を持たす事に最初に成功したのみならず、積極的にマーケットにアプローチした」と見るのが妥当かもしれません。先鞭をつけた物が市場の主導権を握るという点で、サンタフェ研究所の「複雑系経済学」が指摘する不完全合理性の好例かも知れません。

・上記に人工着色料の使用について書きましたが、以前は 虫から採取した色素で赤く色付けていたんです! 長らくメキシコのエンジムシ(ウチワサボテンに寄生するカイガラムシ)のコチニールなるカルミン酸色素が使用されていたとの事・・この虫はアステカやインカ帝国などで古くから養殖されて染色用の染料に使われてきたそうです。

・この事を知ったら虫嫌いの人は飲みたくなくなるに違いないですね・・絶対的な企業秘密じゃないですか?後述のアルケルメスというリキュールにも使われています。

.アペロール   < イタリア北西部/ ピエモンテ州>   リンドウ、大黄、キナ / グレープ・スピリッツ   (11度 ) .

・これもカンパリ系ですがオレンジ風味を強く感じます。カンパリ、チナールに較べると、より穏やかな風味で親しみやすい優しい味わいです。アルコール度数も、さらに低い!

・ロック、ソーダ、コーラで・・キナが入ってるのでトニックはグー!でしょうね・・・

・大黄はタデ科の植物で漢方薬の材料としてお馴染みですよね。昔から「タデ喰う虫も好き好き」などと云われ、苦い奴の代表選手でした。

・キナ(機那)とは南アメリカ原産のアカネ科の薬用樹木です。樹皮に約 30 種のアルカロイドを含んでいて,キニーネ(マラリアの特効薬)を抽出するために栽培されるとのこと。強い苦味を持つ為、トニック・ウォーターの材料に使われます。キニーネやキナ抽出物を含むちゃんとしたトニック・ウォーターはブラック・ライト下で青く発光するのですぐ分かるそうです。

・こちらも、「イタリアでは仕事帰りのおっさん達がカウンターでアぺロールのソーダ割りを一杯ひっかけて帰るようで、とりあえず一杯!な、飲み物のようです。」との記述があります。この手のカンパリ系は地域ごとに存在し日常的なおじさん達の愛飲酒なんですね。このブログ写真では(申し訳なさそうな)親指大の氷が一個しか入っておらず、クラスの外側に霜など皆無なのでソーダも冷やしてない感じです。なんて日常度が高すぎるんでしょうか・・

 

 

チナール   <イタリア離島部/シチリア島>   カルティーフイ、他13種のハーブ    (16,5度) 

・味的にはカンパリ系と言えますが、鋭い主張や都会的なシャープさは無く、ドン臭い可愛らしさが魅力の田舎娘って感じで、シチリア島のイメージにピッタリです。カンパリより低い度数も優しさのポイントです。

・アザミ類のラテン語の名前「チナーラ/Cynara」に由来した名前だそうです。

・ロック、ソーダも良いですが、南米で若者に人気のチナ・コーラなんかどうですか?チナ・モーニも人気らしいです。

・意外な事に、チナールはおじさん達の飲みものらしいです。たまたま見かけたブログ(イタリア住在の女性)に、「イタリアでも若い女性が飲むものではないですね。前にバールでチナールください!と言ったら、え?チナール?アンタが?と聞き返されました。」 と書いてありました。

・ブラジルでは<シナー>と呼ばれるポピュラーな飲料の様で、「こちらでは、MeiaMeiaといって、シナー半分と51(カサッシャ)半分でコップ1杯で飲んでいくおじさん達が多いです。 石工などのお兄様たちにも、こよなく愛される“51”と“Cynar”です。」との記述を見つけました。

カルティーフはアーティチョークや朝鮮アザミなどと呼ばれる、西洋ではポピュラーな地中海原産の野菜です。イタリア中部から南、サルデーニャ島やシチリア島が有名な産地。日本では栽培条件が合わず、三浦半島などで少量作られている程度で、ヨーロッパと違いかなりの高級食材になっています。海外の料理本では頻繁に見かけるので憧れてる人も多いのでは?(私もです・・・)

アヴェルナ・アマーロ   < イタリア離島部/シチリア島>  リンドウなど   (32度)

・野生リンドウ(ジュンジュアン)の根が主体の薬酒です。極めて素朴な味わい。甘過ぎず苦過ぎないユルやかさ・・でも、お洒落な叔父さんに教わったネクタイの結び方にこだわる<田舎の伊達男>、って感じですか?アマーロは“苦い”の意なので、「アヴェルナさんの苦い奴」って意味。マンマですね。

・シチリア島にあるサン・スピリート修道院秘伝の調合のもとに作られ、秘酒として限られた人だけに飲まれていたそうです。1854年、修道院の後援者サルヴァトーレ・ アヴェルナが処方を譲り受け、1868年に息子のフランチェスコが“アマーロ・シチリアーノ・アヴェルナ”という名前で販売を開始。 その後、王室御用達にもなったそうです。 1920年にはアメリカ市場に進出し成功の一歩を踏み出しました。現在ではシチリアのみならず、イタリアを代表するリキュールに成長して世界中で愛飲されています。

・ロックや、ソーダ、トニック、オレンジジュース割りで

・シチリア島には干しブドウ(マスカット種)からつくる「ズィビッボ」や「 マルヴァジーア・デッレ・リパリ」という甘いデザート向きのワイン・リキュールなど、この島ならではの地域飲料が残っています。

・シチリアと言えばマフィアですが語源が面白いです。1282年に起きたフランスへの反乱の合言葉が 「全てのフ ランス人に死を、これはイタリアの叫びだ!」でした。イタリア語だと「Morte alla Francia Italia anela!」で、頭文字を並べれば <mafia>となります。これが由来という説が有力だそうでが、シチリアマフィアは自らをマフィアとは呼ばず、 コーサ・ノストラ(La Cosa Nostra)「我々のもの」と呼んでいるのはご存知の通りです。ちなみに、「 ピッツォ(シャバ代)」などを含むシチリア島マフィアの違法収入は毎年10億ユーロ(約1600億円)に達すると見られており、同島の総生産の1.3%に当たるそうです。

フェルネ・プレソラーナ   < イタリア北東部/ヴェネト州 >   アロエ、アンジェリカ、ミント、オレンジ、甘草   (40度)

・ プレソラーナはイタリア北部の山脈にある渓谷の名前です。 開発を担当したハーブ学者のベンチェッティ博士がこの名から命名したそうです。その名に恥じず、渓谷の新鮮な地産ハーブを使用した地力のある味わいで際立った個性を現出しています。

・特徴的な薬味感があり、舌に残るコノ味は・・じ、仁丹!ですか?確かにアロエ的な風味も強く感じられ、体にも良さそうな個性派ですね。フェルネとはイタリア語で「苦味酒」を指すようですが、確かにか〜なり苦い!「苦い王」とも云える“ポーリ・アマーロ”に比べると、より複雑な苦みです。

・この銘柄を出しているドリンク・イタリア社は、「BARレモンハート」のマスターが20年以上探しつづけたという幻のリキュール「ラッテ・リ・ソッチラ」や天使のラベルで有名なグラッパを出していて、話題性の高いメーカーです。

 

ポーリ・アマーロ  <イタリア北東部/ヴェネト州>  アンジェリカの根、など / グラッパ   (32度)

・ グラッパで有名な「ポーリ社」のアマーロです!当然、グラッパをベースに各種ハーブが漬け込まれており、懐古的とも新境地ともいえる一本!

・甘味がほとんど無い!強烈な苦味がドスコイッと来る!苦味一本で勝負する男気に溢れた潔よい味で、さすがにポーリがやると超個性派に仕上がりますね。ボトルの首もグラッパッっぽく折れそうなほど細くて、これまた胸キュンです。

・上記の他に、ニガヨモギ、メリッサ、コリアンダー、オレンジピール、シナモンなども使われている様で、ややアブサン寄りの処方ですね・・・


ポーリ・アペリティヴォ
  <イタリア北東部/ヴェネト州>   レッド・ベリー、スロー・ベリー、唐辛子   22度 

 

・ポーリ社の食前酒です。おおまかにはカンパリ系と云えますが、さすがに一技の違いを見せ、繊細で絶妙なフレ-バースパイシーで刺激的な苦味で魅了します。

・ 1898年、ジオバッタ・ポリGiobatta Poliによってグラッパ生産の中心地バッサーノ・デル・グラッパに設立されたポリ蒸留所は、 ポリ一族によって100年に渡り引き継がれてきた伝統ある蒸留所です。設立の際につくられた銅製蒸留器は今も使われており、現役で稼動しているグラッパ蒸留器としては最も古いと言われています。

・ 当店にあるポリ社のグラッパは二銘柄です。“グラッパ・サッシカイア”ばテヌータ・サン・グイドのワイナリーから新鮮なまま 蒸留所に運ばれた葡萄滓から作られた超美品ですよ。さらに、有名なスーパートスカンの搾りかすから造られる“グラッパ・ルーチェ”も用意してあります。グラッパファンだけでなく、イタリア・ワイン好きの方もシビれる名前ですよね・・・・

 

コカ・ブトン  < イタリア北東部/エミリア=ロマーニャ州/ボローニャ >  コカの葉  (36,5度)

コカインの原料から作った酒、と言う能書きで一部の話題をさらい続けている悪名高きリキュールですが、以外と古い銘柄なんですね。19世紀前半には既に記録が残っており、当時のエキゾチックな薬用酒として英米で人気を博しました。 南米ボリビア産のコカの葉が使用されており、かつてはチャンと××なコカイン分子が含有されていたそうです。コカ・コーラ同様に近年のボトルは無害ですが、独特のコカ風味は感じられるそうです。

・古いタイプのリキュールだけに、タガが外れた様な激甘さには覚醒作用を感じるほどですね・・。エキス分が50%と濃厚で、トロッっとした粘性が感じられる官能的な舌触り。口の中いっぱいに甘味が広がり、戻り香にコカ・ブトンならではの独特のハーブ香が渦巻きます。

・裏ラベルには、温めて!そのまま飲む方法を薦めていますが・・・美味しい飲み方と云うよりは薬酒としての効果を活かす為でしょうか?・ロック、ミスト、ソーダ割り、ブトンモーニなどがお勧めです。

・日本では1991年の秋に正規輸入が始まり、2001年頃までの10年間だけ流通して停止になりました。やっぱ、ダメだった様です。短期間だけ並行輸入品が出回りましたが、製造元のブトン社が消滅して終売品となりました。

・国内では黄色と緑色の2種類が出回っており成分・風味等に違いはありませんでしたが、紛らわしい事に緑ビンと透明ビンがありました。前者は見ただけではどちらか分からず、クレームの多い銘柄だったそうです。さすがは、イタリアですね・・・

・上記にある通りロスト・ラベル(終売)の半ヴィンテージ品です。度数が比較的高いので大丈夫だと思いますが、味が劣化しているかもしれません。逆に瓶内熟成している可能性も期待できます。ご了承の上で御注文下さい。

 

・イタリアはハーブ酒王国なので、19世紀末のアブサンブームには動じませんでした。しかし、北イタリアは地域的にアブサン震源地と同じエリアにあり、近年ではアブサンの生産も行われています。特に下の銘柄の本気度は高く、ハーブ酒王国の面目を掛けてアブサンに挑戦しています。アブサン評価サイトでは高評価を勝ち取り、新鋭の銘柄として注目を浴びています。(アブサンについてはこちらこちら

ラ・イタリアーノ  < イタリア北西部/ヴァッレ・ダオスタ州 >  ニガヨモギ、アニス、フェンネル、など    (65度)

・“L'Italienne”はイギリスの酒類流通業者 <LdF>のプロデュ−スで実現した特別なアブサンです。地産ハーブ(※)にこだわり、その選択と品質には今までに無い細心の配慮がなされました。使われている高品質のピエモンテ産ニガヨモギは長年イタリア産ヴェルモットの評判を支え続け、一朝一夕に出来たものではありません。他の主要ハーブもエミリア=ロマーニャ州の契約農家の有機栽培品を軸に、イタリア中から集められたそうです。もちろん高品質のグレープスピリッツの使用も必須条件でした。そして、その味わいは「the feminine and floral style absinthes 」との事で、かつてのPernod et Fils社製アブサンに冠された形容詞を標榜する事は、アブサンの理想形を現出せしめんとの心意気を表しています。イタリアというアブサン業界では評価されずらい国から、丁重で確信犯的な企たくらみが届きました。女性的な繊細さと華やかな花の香りを放つイタリアの名花をお試し下さい。(65度)

・ハーブリキュール王国ともいえるイタリアでは同種のハーブ酒は既に普及しきった末に嗜好性が確立しており、アブサンの需要・生産は全盛期においても盛んではありませんでした。しか、しグラッパにも反映された独自の歴史を誇る蒸留技術やハーブ類の扱いの熟達度などには他国を凌駕する側面を持ちます。新時代を向かえて幾つかのイタリアン・アブサン銘柄も登場しはじめた矢先に、アブサン最大指針国のイギリスから打ち出された華麗なる巨大砲弾(ボトルも太い)です。

・フランス国境近くのヴァッレ・ダオスタ州は、アルプスの山々(モンブラン、マッターホルンの麓)に囲まれたイタリアで最も小さな州で、スイスの名産地トラヴェール渓谷と地理的にも環境的にも近いエリアです。この地で長年の経験を持つリキュール名人 Stefano Rossoni の手でボトリングされた時、その新鮮でフローラルな芳香とで力強い味わいには多くのアブサニストが魅了されました。

・こちらにあるファースト・ヴァージョン(2008年)には Stefano Rossoni の魂が込められており、耽美的で不思議な存在感が感じられたそうです。2008年5月にデビューした時に多くのアブサニスト達が賞賛(90P!)した事実は驚きですが、私もフォーラムでの圧倒的な評判を目にして興味を持ちました。世界市場にインパクトを与えた後にも進化し続ける“L'Italienne”は、現在セカンド・バージョン(不在)で、<LdF>関係のサイトから購入可能です。

(※)例えば、ポンタリオやボバレスの様な本場と言えども全ての原材料が地産というわけではありません。昔から<聖なる三草>の内、フェンネルはイタリアや南フランス、グリーンアニスはスペインや南フランスなどの地中海沿岸産が使われてきました(参照)。そして、適正生育主要ハーブ(ニガヨモギ、小ニガヨモギ、メリッサ、ヒソップス)ですら禁制期には栽培が途絶えており、密造者達の多くは自生ハーブを使用していたそうです。規制解除直後は、商品化に必要な量と品質を確保可能な栽培技術が必要で、その試行・検証には大きな苦労があったようです。(参照

・栽培法のみならずハーブを良い状態に乾燥させる技術も以外に難しいようで、原材料の品質管理において重要なポイントになるそうです。適正な収穫時期とか含有水分量など酒用以外の用途とは異なる要素が求められるのではないでしょうか?ハーブリキュール王国のイタリアがこの点でも突出しているであろう事は容易に推測できます。

左は使い物にならない×メリッサ    右はップ・クォリティーの◎メリッサ

 

イタリア北西部
1. ヴァッレ・ダオスタ州 (アオスタ)
2. ピエモンテ州 (トリノ)
3. リグーリア州 (ジェノバ)
4. ロンバルディア州 (ミラノ)


イタリア北東部
5. トレンティーノ・アルト・アディジェ州 (トレント)
6. ヴェネト州 (ベニス)
7. フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州(トリエステ)
8. エミリア・ロマーニャ州 (ボローニャ)


イタリア中部
9. トスカーナ州 (フィレンツェ)
10. ウンブリア州 (ペルージャ)
11. マルケ州 (アンコーナ)
12. ラツィオ州 (ローマ)


イタリア南部
13. アブルッツォ州(ラクイラ)
14. モリーゼ州(カンポバッソ)
15. カンパーニャ州 (ナポリ)
16. プーリア州 (バーリ)
17. バジリカタ州 (ポテンツァ)
18. カラブリア州 (カタンツァーロ)


イタリア離島部
19. シチリア州 (パレルモ)
20. サルデーニャ州 (カリアリ)

 

 


以下の銘柄は未入荷です。

 

アルケルメス

イタリア中部/トスカーナ州


南洋諸島産の香辛料、花の抽出液など

・ イタリアのトスカーナ地方、フィレンツェの有名なサンタ・マリア・ノヴェッラ教会付属の薬局で1743年に生まれました。

・ お菓子好きなら知っているズッパ・イングレーゼの味付け&色付けの為に使われるお酒。 とっても甘くて、そして喉がかぁぁーっと熱くなります。最初にシナモンとクローブの香りが来ますが、すぐに花の香りに変わります。独特の 深みと香りと余韻 。スパイシーな香水を飲んでるみたい・・

・カンパリの項で触れたエンジムシを使って、鮮やかな赤い色を出しています。

・フィレンツェのお菓子「ズッパ・イングレーゼ」について現地に住む方のブログから引用してみました。「アルケルメスと、お好みのリキュールをしみこませたスポンジに、カスタードと生クリームを重ねて冷やせば出来上がりです。リキュール類の量はお好みで変えればいいと思うのですが、アルケルメスは、スパイスとバニラの香りがするので、スポンジがかなりひたひたになる位に漬けた方が、カスタードクリームのバニラ香とマッチしておいしいように思います。」ですって、美味しそうですね・・・

 

 

ストレガ

イタリア南部/カンパーニャ州

40度

サフラン、アニス、フェンネル、ミント、レモン果皮など

・イタリア語で“魔女”という意味の名を持つこのリキュールは、サフランの黄金色に輝く香り高い名品です。イタリア南部のヴェネヴェント市で 1860年に誕生しました。

・ ハーブの香りとバニラ風味の爽やかさかさと、オーク樽による長期間熟成の深みが調和した、繊細で品のある洗練された味。“輝く太陽の溶液”と称される、南部を代表するリキュールです。

・上記のほかに、シナモン、フィレンツェ・アイリス、ジャマイカ・ペッパー、アペニン山脈のエニシダ、サニオ、イリス・ペパーミント・エニシダ など、 ヨーロッパ、中央アメリカ、アジア諸国からの70種類以上ものハーブ、天然香料、スパイスを使用しているそうです。

 

 

 

 

 


 

 

 

 


 

 

 

 


 

 

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